
おもな障害について正しく理解し、配慮のある接し方を心がけましょう。

上肢・下肢にあるマヒや欠損などにより、日常の動作や姿勢の維持が困難な方です。病気や事故で脳に損傷を受けた方の中には、言葉の不自由さや記憶力の低下、感情の不安定さなどを伴う方もいます。
【肢体不自由のある方にはこんな配慮を】
●困っているときは声をかけ、どんな手助けが必要かたずねましょう。
どんな人でも、突然触れられると驚きます。
さりげなく声をかけ、どんな手助けが必要かたずねましょう。
●望まれる方法で対応することが大切です。
●きちんと内容を確認しましょう。
言葉が聞き取りにくい場合は、きちんと内容を確認しましょう。

内部障害とは内臓機能の障害であり、身体障害者福祉法では、「心臓機能」「腎臓機能」「呼吸器機能」「膀胱・直腸機能」「小腸機能」「ヒト免疫不全ウイルスによる免疫機能」「肝臓機能」の7種類の機能障害が定められています。
【内部障害のある方にはこんな配慮を】
●「外見からはわかりにくい障害」があることを理解しましょう。
外見ではわかりにくく、周りから理解されずに苦しんでいる方がいることを知ってください。
●負担をかけない応対を心がけましょう。
内部障害のある方では、疲労感がたまり、集中力や根気にかけるなど、外見からはわかりにくい不便さを抱えていることを理解し、できるだけ負担をかけない応対を心がけましょう。
●決められたルールやマナーを守りましょう。
心臓機能障害で心臓ペースメーカーを埋め込んでいる場合、携帯電話から発せられる電磁波などの影響を受けると、ペースメーカーが誤作動するおそれがあります。車内などでのルールやマナーを守り行動しましょう。

視覚障害のある方の見え方 |
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全く見えない方や見えづらい方がいます。
見えづらい方の中には
●光がまぶしい
●暗いところで見えにくい
●見える範囲が狭い
●特定の色がわかりにくい
などの方がいます。
【視覚障害のある方にはこんな配慮を】
●白杖使用者が困っているときは、こちらから声をかけましょう。
周りの状況がわからないため、相手から声をかけられなければ会話を始められないことがあります。また、知っている相手でも声だけではわからないことがあります。声をかける時はできるだけ前方から話しかけましょう。点字や音声による情報をできるだけ増やしましょう。
●あいまいな表現は避け、具体的に説明しましょう。
「こちら」、「あちら」、「これ」、「それ」などの指示語では、「どこ」か、「何」かわかりません。
「30センチ右」「2歩前」など具体的に説明しましょう。場合によっては、手で触れながら説明しましょう。
●点字ブロックの上に、物や自転車を置くなど、歩行を妨げないようにしましょう。
●駅のホームや交差点など危険な場所では、周りの状況を伝えるなど、積極的に声をかけましょう。

全く聞こえない方と、聞こえにくい方とがいます。さらに、言語障害を伴う方とほとんど伴わない方とがいます。また、言語障害のある方は、その原因によって、聴覚障害を伴う場合があります。
【聴覚・言語障害のある方にはこんな配慮を】
●コミュニケーションの方法を確認しましょう。
聴覚障害のある方との会話には、手話、指文字、筆談、メールなどの方法があります。
●講習会やサークルで手話を学んでみましょう。
●きちんとした内容を確認しましょう。
言語障害のある方への応対は、一つ一つの言葉を聞き分けることが大切です。
言葉が聞き取りにくい場合は、きちんと内容を確認しましょう。

●全盲難聴・・・少しだけ聞こえて全く見えない
●弱視ろう・・・全く聞こえなくて少しだけ見える
●弱視難聴・・・少しだけ聞こえて少しだけ見える
【盲ろう障害のある方にはこんな配慮を】
●コミュニケーションの方法を確認しましょう。
特別なコミュニケーション手段を知らなくても、手のひらに文字を書く方法で会話ができる方もいます。
●話し始めたらいつも手などに触れておきましょう。

発達時期において、脳に障害を受けたため、知的な能力が年齢相応でなく、社会生活への適応のしにくさのある方です。
話の内容を理解できなかったり、自分の考えや気持ちを表現することが難しい方や、ひとつの行動に執着したり、同じ質問を繰り返す方もいます。
また、漢字の読み書きや計算が苦手な方もいます。
【知的障害のある方にはこんな配慮を】
●内容が理解できるように、ゆっくり簡単な言葉で話しかけましょう。
「一方的に話す」「同じ言葉を繰り返す」などコミュニケーションがうまくとれないときは、内容が理解できるようにゆっくりと簡単な言葉で話しかけましょう。
●穏やかな口調で声をかけましょう。
「どうしましたか?」「何かお手伝いしましょうか?」と、穏やかな口調で声をかけましょう。
●大事なことは紙に書いて渡しましょう。
一度にたくさんのことを覚えるのが苦手ですので、大事なことは紙に書いて渡しましょう。

統合失調症、そううつ病、うつ病、てんかん、アルコール依存症などの様々な精神疾患により、日常生活や社会生活のしづらさが生じる方です。精神疾患によって、障害のあらわれ方に違いがあるのも特徴のひとつです。
適切な治療・服薬と周囲の配慮があれば症状をコントロールできるため、大半の方は地域で安定した生活を送っています。
一方で、「自発性がない」「集中力や持続性がない」「人付き合いに緊張しすぎる」などの症状が見られることがあり、周囲からは怠けているかのように見えるなどの誤解を受けることがあります。しかし、決して怠けているとか、意思が弱いということではありません。
【精神障害のある方にはこんな配慮を】
●無理な励ましは本人の過剰なストレスになります。
●本人の話は否定せず、ゆっくり聴いてあげましょう。
●集中できない、疲れやすいなど目に見えにくい「生活のしづらさ」があることを理解しましょう。
●周囲はあせらず、叱らず、あきらめず見守りましょう。
●働きかけは「具体的に」「はっきりと」「簡潔に」伝えましょう。
本人のペースに合わせた働きかけが必要です。じっくりと、時間をかけることも必要です。

重度の肢体不自由と重度の知的障害とが重複している方です。自分で日常生活を送ることは困難であり、自宅で介護を受けたり、専門施設などに入所したりして生活しています。口の動きや目の訴えで意思を伝えます。
また、呼吸することや栄養を摂取することが困難で、常時医学的サポートを必要とする方もいます。
【重症心身障害のある方にはこんな配慮を】
●わずかな身振りの表現や表情の変化は本人の意思表示です。
繊細な観察力で、訴えていることを見過ごさないでください。

脳に機能障害があり、認知や言語、運動、社会的な能力や技術の獲得にかたよりや遅れがある方です。
通常低年齢で現れ、障害の程度は人によって様々です。
・対人・社会性の問題 ・コミュニケーションの問題 ・こだわりや興味のかたより
●注意欠陥多動性障害(ADHD)
・多動・衝動・不注意の問題
●学習障害(LD)
・読み書きや計算などの特定の学習が苦手
【発達障害のある方にはこんな配慮を】
●肯定的に伝えましょう。
「なぜできないのか」ではなく、「こうすればいい」と肯定的に伝えましょう。
●どうすればよいかを具体的に示し説明しましょう。
抽象的な表現は用いず、具体的に説明しましょう。
●予定は明確に伝えましょう。
予定は事前にわかりやすく伝えましょう。また、言葉だけでなく、絵や写真などで伝えると効果的です。
●安心できる環境をつくりましょう。
見通しのつきやすい、安心できる環境を提供してください。

交通事故などによる頭部外傷や脳血管疾患などで脳が損傷を受けたことが原因で、注意力や記憶力が低下したり、物事の段取りが難しくなったり、感情のコントロールが難しくなることなどの症状のある方です。外見からはわかりにくい「見えない障害」のため、周囲の人が理解することが難しく、本人自身も自分の障害を十分に理解できないことがあります。
【高次脳機能障害のある方にはこんな配慮を】
●正しい理解と支援が求められています。
日常生活や対人関係、仕事などで混乱や不安を感じていることを正しく理解しましょう。これまでの生活や人生観などを尊重した関わりをもつようにしましょう。
●ゆっくり、わかりやすく、具体的に話しましょう。
情報は、メモを書いて渡し、絵や写真、図なども使って伝えましょう。ゆっくりと一つずつ、具体的に話しましょう。
●休養や気分転換を促しましょう。
疲れやすいことが多いので、イライラしたりぼんやりする様子が見られたら、一休みして気分転換を促すようにしましょう。

難病とは原因不明で治療方法が未確立であり、かつ、後遺症を残すおそれが少なくない疾病で、慢性的経過をたどり、本人や家族の身体的・精神的・経済的負担が大きい疾病です。平成27年7月現在、332の疾病が障害者総合支援法の対象とされています。
【難病のある方にはこんな配慮を】
●「外見からはわかりにくい障害」があることを理解しましょう。
障害のあることが外見ではわかりにくく、周りから理解されずに苦しんでいる人がいることを知ってください。
●その人のことを正しく理解することが大切です。
「難病」には、様々な疾病があります。先入観や偏見をもたず、病気のこと、その人のことを正しく理解することが大切です。